日本の医療と医薬品等の未来を考える会

第24回「日本の医療と医薬品等の未来を考える会」リポート

第24回「日本の医療と医薬品等の未来を考える会」リポート

質疑応答では次のような発言がありました。

加納宣康(沖縄徳洲会千葉徳洲会病院病院長):「私はこれまで大変厳しい外科医教育をしてきましたので、今のような話を聞くと、これだけの労働時間でまともな外科医が育つのか、と思ってしまいます。週40時間という労働時間で、まともな外科医が育つでしょうか。本気でできると思っているのですか」


堀岡:
「おっしゃる通りで、それではまともな外科医は育たないし、地域医療も守れるわけがないと思っています。そこで、36協定の特別条項の例外が必要になってくる、と考えていただければと思います。一方で、先生が若い頃に、これ看護師がやってくれないかな、と思われた業務がいっぱいあると思います。点滴とかですね。それをやらなくてすむようにし、外科医は外科医にしかできない仕事に注力していただいて、労働時間全体は短くしていく。さらに、労働時間の上限を作ることが、今回の検討会の重要な仕事だと考えています。全体の労働時間全体を短くすることと、上限を上げるということを、両方やらなくてはいけないと思っています」

土屋了介(ときわ会グループ顧問):「日本では、医師が自分の専業だけやろうとすると、これまでやっていた業務を吐き出すところがありません。もう少し看護師の自主性を重んじた制度を作らないといけないのではないでしょうか。また、特定看護師の研修機関を見ると、大学病院はわずか6か所で、大学が関与しているのは14か所しかありません。大学病院がやってくれるようになり、特定看護師の養成が進んで、医師が本来業務に徹することができるようになることを望んでいます」

堀岡:「大学病院に特定看護の研修機関になっていただくのは、本当に適切だと思います。たとえば、臨床推論などを教えるのは、看護大学はあまり得意ではないわけです。看護大学の教授は、医師が減って、どんどん看護師になっていますから、医学部でやっていただくのがいいと思います。実は特定看護師のいる割合は、一般病院より大学病院のほうが高いのです。看護師の数が多いので、研修に出すことは、一般病院より行っているのです。ただ、特定看護師のいる大学病院といない大学病院で、タスクシフトがあまり変わっていません。特定看護師を十分に活用できていないといえます」

炭山嘉伸(東邦大学理事長):「大学病院は資格を取っている看護師が多いのに、活用されていないということであれば、反省しなければいけません。ただ、特定看護師の養成機関をもっと増やしてもらわなければいけない、というのが現実だと思います。タスクシフトに関しては、改善していくことができると思います。ただ、医師の労働時間には、患者さん側の考え方も大きく関わっています。時間外のインフォームドコンセントはいけないと言われても、患者さんは主治医から説明を受けたいし、その時間しか取れないとなれば、当然それを希望します。国民から十分な理解を得られるようでなければ、なかなか難しいと思います。そういうことも含めて働き方改革を進めていただきたいと思います。もう1つは女性医師の登用です。この取り組みも、周囲の環境の理解、ご家族の理解ということが大きく関わっています。それと、それぞれの医療機関が、女性医師登用のためにどのような施設を持っているか、ということが重要です。私どもの大学病院は、幼児保育もやりますし、女性医師が働きやすい環境を整えています。そういったことも、働き方改革では重要だと思います」

堀岡:「国民の理解に関しては、厚生労働省がキャンペーンを行います。ただ、いいアイディアがあるわけではないのです。AKBのポスターを作っても、うまくいくのかはわかりません。こうすればよいのではないか、といったご意見があれば、ぜひ教えていただきたいと思っています。特定看護師の活用については、いろいろな病院を見させていただくのですが、特定看護師によってタスクシフティングが進んでいる病院と、そうでない病院には大きな違いがあります。配置が違うのです。特定看護師を看護部に配置すると、タスクシフトは進みません。うまくいっている病院では、特定看護師を診療部に配置しています。医師と一緒になって活動できるようにすると、急速にタスクシフトが進むようです」

邉見公雄(全国自治体病院協議会会長):「中央社会保険医療協議会に、病院団体の代表として初めて参加したのは私です。それまで日本医師会の方が参加していましたが、病院団体からは初めてでした。そのとき、私が最初に申し上げたのは、私は医師の代表ではなく、30近い職種が働く病院の代表である、ということでした。それまでの中医協では、チーム医療を理解しない人たちが議論をしていました。NSTに点数をつけてくれと言うと、そんなの知らんと言われました。褥瘡ケアに点数をつけてもらったときは、専門医にも点数がつかないのに、なぜ看護師に点数をつけるんだと言われました。最近はだいぶ変わってきたかもしれませんが、かつてはそんな感じでした。日本は人口減少社会になっているので、医師がやってきたことは看護師が、看護師がやってきたことはヘルパーが、ヘルパーがやってきたことは患者家族が、患者家族がやってきたことは患者本人がやらないといけなくなっています。そういう方向で点数をつけていただきたいと考えています」

堀岡:「確かに10年くらい前までは、そういうことをおっしゃる医師がいたかもしれません。しかし、現在、私がタスクシフトなどの話をしたときに、頭から反対される方には会ったことがありません。だいぶ変わってきたのではないかと思います。チーム医療推進に関しては、アメリカでは働き方改革が起爆剤となったようです。日本でもそうなるのではないかと思っています」

落合慈之(NTT東日本関東病院名誉院長):「以前、日本医療機能評価機構の評価委員長などをやらされたことがあるのですが、医療機能評価を受けにくる病院で、最初に情けなく引っかかるのは、人員配置標準を満たしていない場合で、これを「標欠」といいます。これをどうやって解決するかというと、アルバイト募集を出して、0.5単位ずつ、週に3回、別に雇用します。こうやって1.5単位分人を増やしてクリアする、というようなことが許されていたことがあります。労働時間の中で、1人1人の医師の働き方にとってはよい施策を進めていただいていると思いますが、日本全体の医療の質ということを考えると、そのあたりの整合性をどうとっていくか、非常に難しいのではないかと思います」

堀岡:「15年くらい前だったでしょうか、名義貸しができなくなって、日本中の病院が標欠になったことがありました。それと同じことが、この働き方改革で起こるのではないか、ということですね。――それは否定できないですね。来年3月の結論を出す段階で、そういうことが起きないようにしておく必要があるということだと思います」

荏原太(すこやか高田中央病院院長):「現在の派遣労働と同じように、医師が派遣のスタッフとして登録され、民間病院が多額の経費を払うようになるのではないか、ということが危惧されています。それを止めない限り、医療の崩壊は進んでいくと私は考えています。それに関して、厚生労働省には、もう医療の崩壊が始まっていることと、主治医制はあきらめてくださいということを、国民にはっきり言っていただきたいと思います」

堀岡:「フリーター医師問題は深刻だと思っておりまして、前回の臨時国会で通った改正職業安定法の中に、その対策を紛れ込ませています。派遣業者に2重転職を禁止していまして、6ヵ月でくるくる転職する医師がいますが、それを公表させる法改正を行っています。紹介した医師が、常勤で何か月間勤務したのか、何年間そこにいたのか、といったことを公表する義務を派遣業者に持たせています。これがよく効いて、悪品業者は見ればわかるようになりました」

 

大嶋耐之(金城学院大学薬学部医療薬学教授):「薬剤師の立場でお話させていただきます。ご紹介いただいた施策の中で、看護師に対していろいろな特定行為を認めていますが、この中に薬剤投与関連がけっこう含まれています。ここはなぜ薬剤師ではなく、看護師になったのでしょうか。今、がん専門薬剤師など、専門薬剤師制度ができています。そういうところにも、薬剤師を活かしていただきたい、というのが1点です。もう1点は、スイッチOTCのことです。少し枠を広げていただければ、もう少し医師の負担軽減につながるのではないかと思います」

堀岡:「1つ目のご指摘は、まったくその通りだと思います。薬剤師のしかるべき方たちから、そういうことをやりたいというお話を聞いたことがありませんでした。薬剤師の団体でそういった動きを作っていただければ、我々もそれに乗って、頑張っていきたいと思います。スイッチOTCの話は、個人的にはまったく賛成です。ただ、関係団体からの反発は強いでしょうね」

土屋:「1988年にフランスのがんセンターに行ったときに、回診について行ったことがあります。医師1人に5~6人のスタッフがついて回診するのですが、その中に薬剤師がいました。そして、眠れないとか、痛いといった訴えがあると、その場で薬剤師が処方箋を書いていきます。そういう形でチーム医療ができるようになれば、患者さんのためになるし、働き方改革にも役立つと思います。薬剤師さんの活用はぜひ進めていただきたいですね」

邉見:「私はチーム医療のキーパーソンは薬剤師だと思っています。医師はわがままな人が多く、看護師は控えめな人が多い。薬剤師は人間的にも中庸だし、男女比もちょうどいい。学歴の6年制になっていますし、医療安全などいろいろな面を考えても、薬剤師こそチーム医療のキーパーソンと信じています。若い看護師や医師にしてみると、最近は難しい薬剤が後発品を含めてたくさん出てきますが、そういったことを考えても、薬剤師を活用すべきです。特定行為の中にも、薬剤師に適したものはいくつもあると思います」


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