第8回「日本の医療と医薬品等の未来を考える会」開催リポート

第8回「日本の医療と医薬品等の未来を考える会」開催リポート

2016年11月16日(水)17:00~18:30、紀尾井フォーラムにて、「日本の医療と医薬品等の未来を考える会」の第8回勉強会を開催いたしました。 詳細は、月刊誌『集中』2017年1月号にて、事後報告記事を掲載いたします。

まず、当会主催者代表の尾尻佳津典より、挨拶させていただきました。
「4月にあった当会の発足式の挨拶で、私はPMDAについて触れ、『海外の製薬会社や医療機器メーカーから審査の期間が長いと不評を買っている』と話しました。その後、PMDAの近藤理事長から、『それは違う』というお話があり、詳しく説明をうかがいました。現在では、PMDAの審査機関は世界最短とのことです。どうしてそれが可能になったのか、といったことも含め、本日は近藤理事長からPMDAの現状についてお話いただきます。」

続いて、当会国会議員団代表の原田義昭・衆議院議員からご挨拶いただきました。
「PMDAは日本の医療・福祉の分野できわめて重要な役割を担っています。世界第一級の審査機関とのことで、自信と誇りを持って仕事をなさっているのだろうと思います。このPMDAをどのように活用していくかが重要かもしれません。本日は、しっかり勉強させていただきたいと思っています。国民に医療について安心してもらうためにも、PMDAの活躍には期待しています。」

今回の講演は、近藤達也氏(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長)による『PMDA-世界第一級の審査機関-』と題するものでした。
以下はその要約です。

日本の新薬審査には時間がかかると言われてきた。実際、2006年には800日以上を要し、世界の中でも突出した長さだったが、12年にFDAに追いつき、15年には284日にまで短縮された。現在の審査期間は世界最短で、審査期間の振れ幅が少ないのも特徴である。そのため申請した案件がいつ頃承認されるかを予測しやすい。こうした変化の背景となったのが、人員体制の強化と人材育成だった。PMDA発足当時256人だった職員数は、16年には873人に増えた。また、アカデミアとの交流を推進することで、職員のレベルアップを図り、科学委員会の創設などにより審査体制を強化してきた。実際の審査では、申請前の相談業務の充実が、審査期間の短縮に大きく貢献した。さらに、革新的な医薬品や医療機器を日本で早期に実用化するため、日本での開発を促進する先駆け審査指定制度が新たに始まっている。PMDAは、生先端の医療等が受けられる社会の実現を目指している。そのためには、産官学と国民の義務と責任ある連携が必要である。

講演に関して質疑応答が行われ、次のような発言がありました。

原田:「かつて経済産業省の仕事で、ベンチャー企業を指導する機会がありました。アイディアが事業化するまでに3~5年かかり、ここが死の谷と呼ばれていますが、そこを乗り切るために通常はどうやってファンドを供給するかという話になります。講演では、相談業務を充実させるということでしたが、それがどう役立つのでしょうか。また、PMDAの救済についてですが、医療過誤を起こした場合はどう扱うのでしょうか。」

近藤:「開発前に、こういう開発をしてください、有効性はこのように確保し、安全性はこう確保してください、ということを教えます。PMDAは将来的な見通しを含め、ある程度のお墨付きを出すのです。それにより、どの程度の価値があるのか、いつ頃ものになるのか、どのくらい金がかかるのか、といった見当がつきます。ベンチャー企業が投資しやすい環境になっていると思います。救済については、抗がん剤と免疫抑制剤を除く薬が入院治療で使われ、正しく処方され、正しく使用されたにも関わらず、問題が起きた場合が対象となります。それから外れた治療が行われていた場合は、PMDAの救済の対象にはなりません。」

尾尻:「救済制度で使われる費用が21億円とのことですが、救済するかどうかの判断はPMDAが行うのですか。また、薬で41万件、医療機器で5万件の副作用などの問題が発生したとされていますが、そういう問題があったことは、いつ情報開示されているのでしょうか。」

近藤:「製薬会社は売上高に相当する拠出金をPMDAに納めています。これが救済の基金となり、この中から支払っています。相互救済のようなものなのです。患者自身が申請する場合と医師が申請する場合がありますが、副作用の起きた人すべてが申請しているわけではありません。現在PMDAは、患者や医療従事者に対し、この制度の存在を知らせるために努力しています。副作用などが起きた場合の情報については、PMDAのホームページなどでも明らかにされています。」

高久史麿(日本医学会会長):「日本では薬はほとんどをメーカーが作りますが、アメリカでは半分以上はベンチャーが作っています。日本ではなぜベンチャーが育たないとお考えですか。また、FDAが審査過程を全部公開するということを始めますが、PMDAはそういう計画をお持ちですか。」

近藤:「ベンチャーは先読みすることが必要です。そこで、それをサポートする形で、薬事申請する前の相談事業を行っています。ベンチャー企業には、もう少し勇気を出してもらわなければならないと思っています。マーケットの大きさが日本とアメリカでは違うので、そうしたことも関係するとは思いますが、やはり勇気は必要です。審査過程の公開についてですが、なぜこのように判断したかについては、審査報告書にくわしく書かれています。誰がこう言ったということまでは書いていませんが、重要な点はわかるようになっています。」

冨岡勉(衆議院議員・医師):「再生医療を推進する議員の会の事務局長を務めています。再生医療新法ができるときにはPMDAが壁でした。PADAが変わり、ドラッグラグ、デバイスラグがなくなりましたが、PMDAの職員数が増えたことが一番大きな影響があったのではないかと思います。どうでしょうか。また、産学官の連携というお話がありましたが、それに政治の政を加える必要があるように思いますが、いかがでしょうか。画期的な制度の変更、法律の準備などには、どうしても政治の力が必要です。」

近藤:「人数が増えたことは、確かに大事なことだったと思います。FDAはもっと多く、4000~5000人です。PMDAの人数はまだ少なく、合理性を求めて仕事をしてきました。そこを評価していただきたいと思います。政治の重要性については、その通りだと思います。」

土屋了介(地方独立行政法人神奈川県立病院機構理事長):「講演でCOI(利益相反)のお話がありました。確かに大切ですが、強調しすぎると、かつてのように、産学官が関係を持つのはよくない、といったことになりがちです。日本の学会発表などを見ているとそれを感じます。これだけ援助を受けているが、それに左右されることなくきちんと学問を行っている、ということでよいのではないか。そのためにCOIはあるのではないかと思いますが、どうでしょうか。」

近藤:「同感です。関与を受けている人は、それなりの影響を受けていることは間違いありません。それでも学問的な発表は、影響を受けずにしっかり行っていただく必要があります。」

 


瀬戸皖一(脳神経疾患研究所付属総合南東北病院 南東北BNCT研究センター長):「南東北病院で中性子を使うBNCTの治験を行っています。PMDAの審査はほとんどが医薬品で、医療機器は二の次になっているのではないかという印象も受けますが。」

近藤:「二の次になっているということはありません。医療機器に対して国家承認を行っているのは、アメリカと日本だけです。ヨーロッパではトースターなどと同じ基準で認可しています。どの国で承認された医療機器が信用できるかといえば、国家承認を行っている国ということになります。日本の医療機器を世界で売っていこうという場合、これは価値があると思います。今後、多くの国で日本の医療機器を採用してもらうためにも、日本の承認制度は重要な役割を果たすと思います。」

中村建二郎(特定非営利活動法人ともに浜をつくる会理事):「国際間企業提携の仕事をしており、香港の企業から日本で医療機器のビジネスを行いたいという依頼を受けています。日本では、カテーテルなどは使い捨てですが、これを滅菌して再利用することが、すでにアメリカでは認められ、そういうビジネスが立ち上がっています。日本でもそれをやりたいという話ですが、なかなか進みません。PMDAの許可が出れば、このプロジェクトは進めることができるのでしょうか。」 近藤 「その話は私も聞いて知っています。ただ、PMDAというより、まず厚生労働省の問題ということになります。ここでは私個人の感想を述べるだけですが、確かにもったいない話ですので、再利用したほうがよいでしょう。そういう方向に進むのではないかと思います。」


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